2021年11月28日日曜日

それと光

 眠れない夜にぼくは1つの線を闇に描きたくなり、棒を手にする。深夜の棒。をまっすぐふかくさしこんでたてにひきさいていく、まっすぐの線は横にたまにズレながら切り裂き傷が左右に引っ張られるようにして出来ていく。闇は黒く、山は暗く、あたりは沈んでいく。ちょうど周りの白い汚れのように見えるやつが大体実は光で。

地球からその光たちのことをぼくは星と呼んだりする。 ぼくとくまはすぐに隣にいてずっと黙ったまま突っ立っていて"あてもなくわけもなく"。忘れた頃にまた形がぼんやりと浮かび上がってくる。

ぜんぶそれらは真上の頂上で行われていたからきっと雨が頭に届くくらいの時間がかかってやっと伝わるだろう。

、、、

それまではコーヒーを飲みにちょっとそこへ行こう。

僕らは丸いテーブルの上にカップを置いてコーヒーがドリップされるのを待つ。雨の中にたまに混じっているんだ。うまくいったから今夜はすぐに2人でコーヒーを飲むことが出きた。くまがコップを使ってコーヒーを飲むのを見るのはかわいい。ごくごく。

やがて静かなそこに青い車が走ってきて止まる。乗り込んだり誘われたりもしない。ただ雨の中、ライトを2つ前方につけて走ってきたブルーの車がうつくしいのだ。くるまの中にくまがいるよ、、耳元で小さなささやき声が聞こえて振り向くとなにもなくなってしまっていた。

テーブルの上であおいくるまもくまもあめも失ってしまった。再びなにもかも失ってしまったからだがとぼとぼと闇の中を歩く。わたしにはからだがある。からだがあるから闇の中にからだをおける。

なぜ、闇なんて言うんだろ。闇を借りてくるんだろう。闇はカーテンの種類の一つくらいのもので、そんなにすぐ闇、闇、借りて言うなよ。そうも今の体でぼくは思えるんだった。

目を開くと明るくてさまざまな色が飛び込んできた。ぼくの命より先に光があったし、色もあったし、今ぼくはそこに参加している。海の満ち引きもそうだけど、光のグラデーションの中にいない瞬間がない。全部が動いている。死んでいない。黒から白まで光まで赤や黄色いや青木やみどりにつたもちつたもはっぱもおいしげるおいしいみずもおじさんも花もいろんな理由もそのわけも理由も自由も色もカタカナも映画もホワイト語も、わたしたちは全部持っている。持ち歩いていていつも溢れこぼれ、落として空気で上昇し歩いている。キスをしたい。

夜中それに気付くと画面が雨で濡れていった。

その状態で今度は夢の中にグーでジャンプし入っていこうと思う。

人と話す時、こんな風に話せない。あふれる想いは伝わる言葉に、音に変換され互いを飛び交う。でもこのかわるがわるのうつくしい光の中を生きているとどうしてももっと違うことばで話したくなってしまう、もっともっともっともっとどうにかして光をあびてしまいたくてしまいたいな、よ。


いきなりどこで泣いてもばかじゃないうそじゃないほんとうじゃない、それしかない。

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